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卒業生の声


職種を問わず活躍できる言葉のプロに
笠原 美空さん(2019年度卒)

 日本語教育専攻相当課程を修め、中学・高校の国語科教員養成課程も修了した卒業生です。卒業後は1年間だけ公立高校に勤めましたが、2年目からは母校である私立高校に勤務しています。
 日本語教育に関心を持ったきっかけは、高校生の時に父から借りた『日本人の知らない日本語』というコミックエッセイでした。ページをめくる度に、普段は気にしたこともなかった語源や文化差を知り、気づけば「もっと知りたい、誰かに教えたい!」と考えるようになりました。

 地元の近隣で日本語教育の資格が取れ、実習までも備えた大学はここしかない、と日本語学科(今の国際日本学科)へ進学を決めました。進学に際し、教員免許の取得を両親と約束していたため、並行して日本語教師の資格取得も目指す生活を送っていました。慣れない一人暮らしをしながら、居合道部と教職と日本語教育との三足の草鞋を履き回して忙しくしていて、進路を決めはじめる時期に差しかかってもなお、進路選択を決めあぐねていました。

 最大の転機が訪れたのは3年次の9月、韓国・釜山大学校での日本語教育実習に参加したときのことです。教科書などの教材を使わず、Can-Doステートメントに基づいてそれぞれの先生がオリジナルの授業を展開するため、実習生も「なぜこれを学ぶのか、学ぶとどう役立つか」「効果的に理解させるにはどう展開するか」「学生の評価はどうするか」など、総合的に考えなければなりません。大学の講義で理論は理解していても、いざ現場で実践するとなると、考えなければいけないことが多すぎてパニックになり、自身の無力さに涙した日もありました。それでも必死に食らいついて2週間の実習を乗り切り、最後に学生からの評価シート(アンケート)をもらったなかに、「やさしく教えてくれてうれしかったです。先生ならきっといい先生になれます!がんばってください!」というメッセージを見つけ、また涙を流しました。このやりがいある教員という仕事こそが私の進むべき道だと決意し、今も教壇に立っています。

 当然ながら、日本語教育と学校教育では法律的にも異なる仕事です。しかし、人に何かを教え、誰かの人生に密接に関わるという点は変わりません。むしろ、日本語教授法の講義で学んだ「ルーブリック」や「ポートフォリオ」などの評価方法や、日本語についての専門科で得た細かな知識が、高校教師としての私の授業や成績評価にも役立っています。勤務校には中高一貫コースもありますが、中学校の口語文法だけを扱う授業を担当したとき、日本語教育課程で学んだ文法知識が大活躍でした。授業中に「これ知ってる?」と豆知識のように紹介すると、特に地域方言の話題では生徒の反応も良く、注意を引きつけるのによく使いました。

 また、高校の国語科ならではのケースですが、入試を控えた生徒を対象に、志望理由書や小論文といった作文添削も求められたときも、日本語教育課程を履修して良かったと心底思いました。文章のどういった点に注目するか、書きたかったと思われる内容は何か、推測しながら添削する技量は日本語教育課程の方で鍛えられたように思います。
 日本語教育課程で学んだことは、学校教育の現場でも十二分に役立ちます。「国語」としてだけでなく、「日本語」として学んだことは、知識の自信と指導の説得力に繋がっています。さらに、日本語学習が不十分なために学校の授業についていけない児童・生徒も大勢いる現在、両方の資格を持っている人材は重宝されますし、セカンドキャリアにも活かせます。ぜひ皆さんも「せっかく日本語を専攻しているんだし」という気持ちで、日本語教育に興味を持ってみてください。言葉のプロとして、どんな職業でも活躍できる人材になってみませんか?

2つの強いスキル 〜研修担当者を通じて〜
CSさん(2020年3月卒業)

「研修担当者」という職業を聞いたことがありますか。
研修担当者の主な役割は、海外から日本に技術を学びにくる研修生の生活や日本語学習をサポートをすることです。具体的には、日本語授業の進捗管理や日本語講師採用業務、研修生の受入企業のサポートなどがあります。
研修生、日本語教師のサポート役として、学科で学んだ日本語教育や異文化理解の面で活かせると感じ、私が卒業後に選んだ道でした。
学科で学んだ2つのスキルがとても役に立っているので紹介させてください。

一つ目は、「相手に伝わる言葉で発信する力」です。
私は国際日本発信コースを履修しており、日本文化を学び発表する授業がありました。相手に伝えることも大切ですが、前提として相手がどんな文化環境に触れてきて、どこまでの文化を知っているのかを確認することで、比較することができより伝わりやすいと学びました。

実務では研修生に日本文化を紹介したり、社会に適応するためのルールを伝えていきます。その際に、相手にとって優しい日本語を選び、お互いの文化を共有し学び合うことでより伝わりやすくなることを日々感じています。

二つ目は、「多面的に物事を考える力」です。
授業では、日本語ネイティブの立場になったり、日本語未習者のことを考えたりする場面が多かったです。見え方を変えながら考えるスキルが自然についていると思います。

実務では、研修生の日本語相談や日本語教師の方からのカリキュラムと学習者に関する相談に寄り添います。立場が異なる双方を思い、相手の立場を理解することで一歩ずつ解決へ導いていけると感じます。

研修担当者として、間接的に日本語教育に関わっていますが日本や日本語に関わる職業は日本語教師だけでなく沢山あると感じます。

4年間で人前で話すことに抵抗を感じにくくなり、発表にむけての事前準備や計画性が養われていき社会人として求められるスキルの土台ができていきます。

卒業後の進路は沢山悩みますよね。広い視野で休憩しながら自分に正直に決めてください。後輩のみなさんが納得できる道へ進めることを切に願っています。